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茶縞染織/糸紡ぎ・茶染め・手織り

ブルーベリー染め

2018.08.14 2019.12.15

暑い夏はなるべく火を使わない染色をしたいですよね。
ということで、熱を加えなくても染められるブルーベリーの実を使った染色に挑戦してみました。
台所用品で染められるので、小学生の自由研究にもぴったりです。

2019年12月15日追記
こちらでは子供向けの自由研究を目的した記事となっております。
加熱による色素抽出のブルーベリー染めも合わせてご参照ください。

今回は計算しやすいように、染める布や糸:ブルーベリーの比率を「1(100g):5(500g)」とし、浴比は、染める布や糸:染液「1(100g):30(3000ml)」としています。

【準備するもの】

  • ブルーベリー:500g
    ※同じ量(500ml)の水と共に何回かに分けながらミキサーで液状にし、不織布やサラシ布などで濾しておきます。ブルーベリー染め
  • 布や糸:100g→精練した繊維(今回はサラシ布と手紡ぎ糸)を水で湿潤しておきます。
    ※乾いたままの繊維をいきなり染色液に浸けると染めムラになりやすいため。
  • 食酢:500g
  • 焼きミョウバン:5g
  • 水:適量
  • その他、大きめのステンレス鍋、ステンレスボウル、菜箸、計量カップ、キッチンスケール、料理用の水温計、ミキサー、不織布などを揃えておくと便利です。

ブルーベリー染め染色方法のパターンは次の通り。
※たくさんの染色結果が欲しかったので、念のため加熱パターンも追加しています。


◎濃染処理
しない:そのまま。
する :無調整豆乳と同量の水を加えた中に、糸や布を1時間以上浸け込み、天日干しでしっかり乾燥させる。

◎酢酸で色素を抽出
しない:液状ブルーベリーに水を加えて3000mlとする。
する :液状ブルーベリーと同量の食酢を加えたあと、残りの容量分の水を加えて3000mlとする。

◎染液の温度
加熱しない:常温の染液の中に糸や布を入れ、よく揉み込む。その後6時間以上浸け込む。
加熱する :染液を火にかけ、60℃になったら糸や布を入れ、60℃〜70℃を保ったままよくかき混ぜながら15分煮る。その後6時間以上浸け込む。

◎媒染の有無
しない:染めた繊維をよく水洗いし、日陰干しをする。
する :染めた繊維をよく水洗いし、繊維の5%(5g)のミョウバンをお湯で溶かした媒染液の中にいれて15分浸す。水洗い後、日陰干しをする。

以上、4パターンを掛け合わせつつ、計16パターンの結果を得ることができました。
色の比較がしやすいように、1枚の染色結果シートには濃染処理をしなかった布(シート左)と濃染処理をした布(シート右)を一緒に貼付しています。


まずは食酢を加えなかった場合。ブルーベリー染めここでわかったことは、
・熱を加えると赤い色素が消える?
・ミョウバンで媒染すると、紫の色素が薄くなる?
疑問形なのは、想像した結果と違ったからです。あれ?どこかで手順を間違えたかな?
ちなみに染液の酸性度はpH4.5くらいです。お酢を加えなくても弱酸性でした。


そして次は、食酢を加えた場合。ブルーベリー染め酸性度はpH値3くらいです。
実際には画像より色の違いが出ているのですが、食酢を入れなかったパターンとほぼ似たような色味となってしまいました。
違いがはっきり出たのは常温染色したあとにミョウバン媒染したもので(画像左下)、酢を加えない染液ではサーモンピンク、酢を加えた染液では彩度がかなり落ちてベージュ色に染まりました。
食酢で赤や紫の色素を抽出できるということだったのですが、ここでも想像と違った結果が…。
もしかすると、食酢の量が少なかったのかもしれません。


ざっくりまとめると、

  • 酢を加えない染液で常温染色したあと、ミョウバンで媒染→サーモンピンク
  • 酢の有無関係なく、加熱染色したあと、ミョウバンで媒染→小豆色
  • 酢の有無関係なく、加熱染色で、媒染してもしなくても→紫色
  • 酢の有無関係なく、常温染色で、媒染してもしなくても→ベージュ
  • 濃染処理をしなくても長時間浸け込めば、淡いパステル調の色味で染まる。

このような結果を得られました。

糸も染めました。ブルーベリー染め左が手紡ぎ糸で、右が紡績糸の20番双糸。どちらも濃染処理しています。

食酢を加えた染液で加熱したあと、ミョウバンで媒染したもの。少し染めムラが出てしまったので、乾かしてからもう一度加熱染色(二度染め)をしています。

写真では紫が強く出ていますが、実際はもう少し赤味のある小豆色に近い色味となりました。
手紡ぎ糸の方が繊維に色素が入りやすく、紡績糸と同じ条件でも濃いめに染まります。

<追記>
濃染処理の説明が不足していたので追記いたしました。

染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。

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