ブルーベリー染め:総集編
以前、小学生向けの自由研究としてブルーベリー染めを行いましたが、ブルーベリーを作っている知人から「染色に使って」と冷凍の完熟果実を大量にいただいたので、今回はしっかり濃く染めることを目的としたブルーベリー染めを行いました。
今回の染色に使ったブルーベリー果実は約2kg。かなり贅沢です。
材料
- 手紡ぎ糸100g+機械紡績糸200g=300g(どちらも素材は綿)
※いつものように精練し、豆乳の濃染処理をしておきます。 - ブルーベリー2kg
染液作りと染色
- ステンレス鍋に冷凍ブルーベリー2kgと半量の水(1000ml)を入れ加熱。
沸騰直前で弱火にし、果実の色がピンクに変わるまで煮る。 - ザルに不織布(生ゴミ用の袋など)を敷いてブルーべリーを濾し、浴比が1:20となるように水を加え染液とする。
- 染液を加熱。沸騰直前で弱火にして糸(乾いていたら湿潤させておく)を投入し、10分染色。
火から下ろしてから染液が完全に冷めるまで放置する。 - 染液が冷えたら糸を取り出して色が出なくなるまで水洗いする。
この水洗いで、糸の色は赤紫から紫へ変化しました。
染液のpH値はpH4.5で酸性なので赤味が強く出ていましたが、水洗いをしただけで赤味が消えるのは不思議ですね。水洗いで酸の成分が流れてしまい中性寄りに変化したということでしょうか。
媒染
今回の媒染方法は3種類。
媒染剤は繊維の5%、浴比は1:10です。
焼きミョウバン(アルミ媒染)、酢酸銅、クエン酸で作ったそれぞれの媒染液に染色した糸を浸します。繊維にしっかり染み込むよう、よく揉み込んでください。
20分浸したら水洗いをしてよく絞り、日かげ干しで乾燥させます。
結果
- 焼きミョウバン
→水洗いした時とほぼ変わらない紫 - 酢酸銅
→鮮やかな青
アルカリ性になったわけではなく、銅イオンによる変化と思われます。 - クエン酸
→ピンク系の赤紫
クエン酸を溶かした媒染液に糸を入れると、染液とおなじような赤紫に変化しましたが、水洗いすると赤味が抜けてしまいました。
まとめ
ブルーベリー果実はつぶさずに加熱したほうがしっかりと色素を抽出できました。しかしアントシアニンは熱に弱い色素なので沸騰はNGです。
また、タンパク濃染処理をしなくてもそこそこ染まりました(写真一番右のカセを参照)。
草木染めでは濃く染めたい場合や染めムラを減らすため、媒染後にもう一度重ね染めをすることがほとんどですが、今回は重ね染めはしていません。
濃染の有無、媒染の種類、重ね染め回数などを工夫すれば、もっとたくさんの色パターン、濃淡パターンが作れそうですね。ブルーベリーが簡単に手に入る環境であれば、染料としてはかなり優秀です。
染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。