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お茶染め(緑茶染め)の染色プロセスと各種データ

2025.05.30 2025.06.01

木綿繊維(コットン100%)をお茶染め(緑茶染め)する際の、必要な分量や時間などを取りまとめた染色データを公開します。
夏休みの自由研究の題材としてお茶染めを検討している生徒さんに届きますように!

この投稿と連動したYouTube動画もあわせてご参考ください。

こちらで紹介する6パターンの媒染(発色)方法で染めた結果は画像の通りです。

染めた木綿繊維

  • 木綿サラシ 30番手 平織り岡生地(蛍光剤不使用/日本製)
  • ハンドタオル オーガニックコットン(生成/ベトナム製)
  • スーピマ綿糸 30/3×3(生成/日本製)

緑茶染めのカラーバリエーション

染色のプロセス

  1. 精練
    繊維に付着した樹脂や汚れなどの不純物を取りのぞいておきます。
  2. 豆乳濃染
    大豆タンパク質が繊維表面に付き、色素吸着の足がかりになります。
  3. 染液を作る
    高温で煮出して、茶葉の色素を抽出します。
  4. 染色する
    緑茶に含まれるタンニン(カテキン)が繊維に吸着します。
  5. 媒染
    金属イオンがタンニンと結合し、色素と繊維を化学的に固定します。

木綿繊維を100gとした場合の各種データ

1.精練

重曹 5g(5%)
5L(浴比1:50)
湯温 90〜95℃
煮出時間 15〜20分
工程 水に重曹を入れてから火に掛け、沸騰したら繊維を入れて煮洗いする。
所定の時間が経ったらすすぎ洗いをして、脱水する。
すぐに染色しない場合は、天日干しで乾燥させて保管する。

2.豆乳濃染

成分無調整豆乳+水 1L+1L=2L(浴比1:20)
浸漬時間 1時間以上
工程 湿潤させた繊維を濃染液に浸け込む。
所定の時間が経ったら脱水する(すすぎ洗いはしない)。
天日干しで乾燥させて、濃染後はなるべく早く染色する。

3.染液を作る

茶葉 50〜100g(できれば繊維と同量)
5L(浴比1:50)
湯温 90〜95℃
煮出時間 15〜20分
工程 水を火に掛け沸騰したら弱火にし、茶葉を入れて煮出す。
所定の時間が来たら火を止め、50℃くらいになるまで蒸らしながら冷ます。
染液が冷めたら不織布でくるんだザルで濾す。
染液が3L(浴比1:30)に足りなかったら、同じ茶葉を使い3Lになるまでもう一度煮出す。

4.染色する

◎下染め

木綿繊維 100g(精練・濃染済み)
染液 3L(浴比1:30)
染温 40℃
浸漬時間 約1時間(染液が冷めるまで)
工程 湿潤させた繊維を染液に入れて1〜2分ほど揉み込み染めをする。
染液が冷めたら取り出し、すすぎ洗い後に脱水。
後媒染をする場合は媒染工程へ。
染色で終わる場合は陰干しをする。

◎上染め(二度染め)

木綿繊維 100g(下染め済み)
染液 3L(浴比1:30)
染温 80℃
浸漬時間 2〜3時間程度(染液が冷めるまで)
工程 下染めで色が足りなかったら上染めをする。
湿潤させた下染め繊維を80℃の染液に入れて木べらで1〜2分ほど撹拌する。
染液が冷めたら取り出し、すすぎ洗い後に脱水。
後媒染をする場合は媒染工程へ。
染色で終わる場合は陰干しをする。

5.媒染

タンニンを多く含む緑茶染めでは、染まり具合(タンニン結合の状態)によって媒染剤の反応が変わるため、記載した量は標準的な目安とする。
その都度、媒染剤の量を自分で見極め、染めたい色味になるよう調整すること。

◎無媒染

プロセス4. の下染め及び上染めの工程でストップし、媒染処理を施さない。
お茶染め本来の淡いベージュを得ることができる。

◎アルミ媒染/染液に媒染剤を溶かして染色する同時媒染

焼ミョウバン
(硫酸アルミニウムカリウム)
10g(10%)
染液 3L(浴比1:30)
湯温 80℃ → 40℃
浸漬時間 約1時間(染液が冷めるまで)
工程 染液を火に掛けて80℃まで温め、焼ミョウバンを溶かす。
染液が40℃まで冷めたら、下染めと同じ工程で染色する。

◎クエン酸/酸性染液による同時染色

クエン酸
(食品添加物でも掃除用でも可)
5g(5% 染液がpH5の弱酸性になる量)
染液 3L(浴比1:30)
湯温 80℃ → 40℃
浸漬時間 約1時間(染液が冷めるまで)
工程 染液を火に掛けて80℃まで温め、クエン酸を溶かす。
染液が40℃まで冷めたら、下染めと同じ工程で染色する。

◎鉄媒染/後媒染

木酢酸鉄
(藍熊染料)
5cc(5%)
4L(浴比1:40)
浸漬時間 15〜20分(反応によって変動)
工程 染色後にすすぎ洗いをした繊維を媒染液に入れ、1〜2分ほど手で揉み込んでから浸け込む。
所定の時間が来たら繊維を取り出し、すすぎ洗い後に脱水して陰干しをする。

◎銅媒染/後媒染

浸染用銅液
(田中直染料店)
10cc(10%)
4L(浴比1:40)
浸漬時間 15〜20分(反応によって変動)
工程 染色後にすすぎ洗いをした繊維を媒染液に入れ、1〜2分ほど手で揉み込んでから浸け込む。
所定の時間が来たら繊維を取り出し、すすぎ洗い後に脱水して陰干しをする。

◎アルミの同時媒染後に鉄媒染/多段階媒染

木酢酸鉄
(藍熊染料)
1mlくらい
4L(浴比1:40)
浸漬時間 15〜20分(反応によって変動)
工程 水に鉄媒染剤を数滴垂らした媒染液に、アルミ同時媒染で染色した繊維を入れ、1〜2分ほど手で揉み込んでから浸け込む。
10分ほどしても色に変化がなかったら、繊維を取りだしてから更に数滴。
さらに10分浸け込み、好みの色になったら繊維を取り出し、すすぎ洗い後に脱水して陰干しをする。

緑茶染めは、茶葉の状態や煮出す温度・時間、染める繊維の種類によって染まり具合に違いが出ます。
思い通りの結果にならなくても、想定外の色合いが得られることもあるので、その点も含めて楽しんでいただけたら幸いです。

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