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プランターで始める綿花栽培:第1回「準備と種まきのコツ」

2025.04.13 2025.04.13

ベランダや小さな庭でも、自宅で綿を育ててみたいという方へ。
綿(わた・コットン)は、プランターや植木鉢でも手軽に育てられる植物です。
ふわふわの綿花が実る姿は見た目にも可愛らしく、収穫後はクラフト素材としても楽しめますよ。

これまで木紋家で行ってきた綿栽培のノウハウを元に、初めて綿を育てる方向けのプランター栽培(鉢植え)をシリーズでご紹介します。
※栽培地域は日本の関東平野部を想定

第1回では、プランター栽培に必要な道具の準備と、種まきの方法をわかりやすくまとめています。

関連動画
YouTubeチャンネル「木紋家の手仕事」

1. 綿の種の購入

綿栽培をしている人から分けて貰ったり、イベントやワークショップなどで配布されていることがありますが、綿の品種や採種地をちゃんと把握しておきたい場合は、正規の種苗店からお買い求めになることをお勧めします。

ここでは、私が2015年に種を購入した「メデタシ種苗」さんを紹介します。

和綿↑和綿は小振りで可愛らしい佇まいの綿花がつき、

洋綿↑洋綿は手触りのよいフワモコな綿花が実ります。

2. 種まきの時期

綿の種まきは、最高気温が安定して20℃を超える頃、関東平野部では4月下旬〜5月中旬くらいを目安としています。

日中は暖かくても朝晩の冷え込みがある地域では、プランターではなくセルポットに種まきをして温室や室内で発芽・育苗管理し、本葉2〜3枚になるころに移植すると失敗が少ないです。

3. 綿栽培に必要な道具と土作りの準備

準備する道具

  • プランターまたは園芸用の鉢
    栽培する綿の株1本につき、縦・横・深さともに30cm以上が理想です。プランターで始める綿花栽培:第1回↑プランター(深55型/2株向け)幅55cm×奥行30cm×深さ32cm 土容量は約25Lプランターで始める綿花栽培:第1回↑鉢(10号) 直径31cm×深さ32cm 土容量は約14L
  • 鉢底ネット
  • 鉢底石(軽石など)
  • 園芸用のスコップや手袋、水やり用のジョウロ、ラベル(品種名や種まき日を記録)
  • 必要であれば、育苗セルポット(直径9cm前後)

使用する土、肥料

  • 花や野菜の栽培用培養土
  • 有機石灰や苦土石灰などのアルカリ性資材

簡単に始めるならば、園芸店やホームセンターで販売している花や野菜用の培養土がおすすめです。
多くの培養土は酸度が中性(pH7前後)程度に調整済みですので、すぐに種まきをしたいのであれば有機石灰を培養土に混ぜ込んでおきましょう。
苦土石灰は土に混ぜてから1週間ほど寝かせたあと、種まきが可能になります。
使用量は資材によって変わるので、それぞれの袋に記載してある説明に従ってください。

もちろん、ガーデニングで土作りに慣れている人は自作の培養土でもOK。

発芽するまでは肥料分はそれほど必要ではないので、種まき時には肥料を加えなくても問題ありません。
かえって発芽から育苗の間に肥料分が多すぎると、ひょろひょろと頼りなく徒長した苗になってしまうことがあるので要注意。

セルポットに種まきをする場合は、市販の種まき用培養土を使うと安心して管理できます。

4. 種まきの方法

  1. 種を水に浸して優しく揉み込み、種の周りについた繊維に水が染み込んだら、そのまま1時間ほど置く。プランターで始める綿花栽培:第1回
  2. プランターの水抜き穴が大きい場合は、土の流出と虫の侵入を防ぐために鉢底ネットを敷く。
    (水抜き穴が網状であれば不要)
    プランターの底に2〜3cmくらい鉢底石を入れる。
  3. 酸度調整した培養土を2〜3回に分けてプランターに入れ、その都度水をかけて土を混ぜ合わせて全体をしっかり湿らせる。
    フチから3cm下くらいまで培養土を入れる。
    セルポットの場合は、フチから1.5cm下くらいまで。
  4. プランターやセルポットの中央に、深さ1cmほどの凹み(くぼみ)を3箇所作る。
    2株分のプランターを使う場合は、株間を20〜30cm程度あける。プランターで始める綿花栽培:第1回
  5. その凹みに種を1粒ずつ置き、土をかぶせて軽く押さえる。
    最後にもう一度、プランターの底から水が出てくるくらいまでたっぷりと水を与える。

5. 発芽管理

半日以上は日に当たるような場所にプランターを置きます。

芽が出てくるまでは毎日欠かさず水やりをしましょう。
気温が高い日が続く場合は、朝晩2回の水やりをしてください。

ポット蒔きの場合

プランターよりも土が乾きやすいので、朝晩2回の水やりを心がけるとよいでしょう。ポットへの種まき

補足:畑で綿を育てたい場合

種まきをする1ヶ月前くらいから土壌環境を整えます。
セルポットで種まきをすれば、土壌改良と同進行で発芽・育苗管理が可能ですよ。

  1. 痩せてカチカチの畑の場合は、土の中にいる微生物の栄養分になる米ぬか、土の保水性と保肥力を高めるための腐葉土を混ぜ込んで1〜2週間ほど寝かしフカフカの土にしておく。
  2. 有機石灰で土壌の酸度調整をし、さらに1週間ほど寝かす。
  3. 土壌に肥料を混ぜ込み、畝立てをする。

参考動画
YouTubeチャンネル「木紋家の手仕事」
綿畑の土壌改良と種まきのタイミング/綿を育てる season4 ep.1

FAQ:よくある質問

Q. 綿はどのくらいで発芽しますか?
5日〜1週間程度で発芽します。
10日経っても発芽しない場合は、低温、加湿もしくは水不足などが考えられます。土の状態や気温を考慮して早めに蒔き直しましょう。
Q. 1株(1本)の綿の木から、どれくらいの綿花が収穫出来ますか?
条件がよければ、1株から10個以上の綿が採れることもあります。なるべく大きなプランター(鉢)で育てるのがポイントです。
Q. 種まきの前に水に浸すのはなぜですか?
綿の種はセルロースが主成分の綿毛に覆われています。
綿の繊維が水を弾いてしまうので、事前に種に残った繊維や硬い種皮に水分を含ませておくと発芽時に負担がかからず、発芽率が高まります。
Q. 蒔く時に種の向きはどうしたらいいですか?
綿の種は先の尖った部分から根や子葉が出ます。種を横向きに置くことで、子葉がスムーズに土から出やすくなり、硬い種皮も外れやすくなります。
Q. 日陰や室内でも育てられますか?
綿はお日様が大好きな植物なので、基本的に屋外で日当たり必須です。
1日6時間以上の日照が望ましいです。
Q. 違うカラーの和綿同士または洋綿同士を同じプランターで育てられますか?
交雑の可能性があるので、同じプランターで育てるのは控えてください。
別のプランターで育てる場合も、虫や風の影響を受けない程度の距離をとった方がよいでしょう。
Q. 洋綿と和綿を同じプランターで育てられますか?
洋綿と和綿は染色体が違うので自然交雑する可能性は少ないのですが、生長のスピードが違うので別のプランターで育てた方が管理がしやすいです。

次回予告

次回は、発芽後の育苗管理や間引きの方法についてご紹介する予定です。
※5月初旬を予定

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