緑茶(日本茶)で黄色に染めてみる:同時媒染/同浴染め
先日行ったお茶染め体験で、参加者から「染液の作り方は企業秘密ですよね?」とのご質問をいただきました。
小紋屋のお茶染めは誰でも気軽に楽しんでいただくために行っておりますので、今回も全て公開いたします!
ということで、お茶染め体験バージョン(木綿:コットン100%の繊維を対象)の染液の作り方と、そのポイントをお伝えします。
お茶染め体験では、短時間で手間がかからず、しっかり染めることが重要だったため、媒染剤を染液に溶かした「同時媒染(同浴染め)」という方法をとりました。
後媒染では2度染めしなければならなかった緑茶染めが、1度で写真のような明るい黄色に染めることが可能です。
※こちらはお茶染め体験のサンプルです。(黄色=緑茶、濃い茶色=烏龍茶、ベージュ=ほうじ茶)
用意するもの
染めるもの
- ハンドタオル(オーガニックコットン100%):25g×4枚=100g
染液の材料
- 緑茶(商品化できなかった廃棄茶葉を利用):100g(染めるものに対して同量)
- 焼きみょうばん(硫酸アルミニウムカリウム):10g(染めるものに対して10%)
染色に必要な道具
- 過去の投稿「お茶染めや草木染めに必要な道具と用語集」をご参照ください。
染液を作る
- 鍋に4リットルの水を入れて沸騰させ、弱火にしてから茶葉を入れて15分〜20分煮出す。
この時の湯温は90〜95℃をキープして、グラグラと沸騰させる必要はない。 - 染液を入れるための染色桶(鍋、ボウルでもOK)を準備し、焼きみょうばんを入れておく。
- ザルに不織布や目の細かい濾し布を被せて染色桶にセットする。
- 染液ができたら、冷めないうちに500ml程度を濾しながら染色桶に入れ、焼きみょうばんを良く溶かす。
- 残りの染液は、煮出した鍋の中で茶葉を入れたまま40℃程度まで冷ます。
- 染液が冷めたら、ザルで濾しながら染色桶に溜める。
補足
染液は染めるものに対して30倍(浴比1:30)程度を用意しましょう。
(今回の例では3リットルの染液を用意)
繊維を染める
- 染めるものは予め濃染処理を施しておく。
→過去の投稿「木綿を濃染する」をご参照ください。 - 染めるものを湿潤させてからしっかり脱水し(※)、皺がないように広げてから染色桶に入れる。
- 最初の1分は繊維の奥まで液が染み込むようにしっかり揉み込む。
- 全体に染液が染み込んだら、10分〜15分くらい染液に浸しておく。
- 時間がたったら染液から取り出して絞り、色が出なくなるまでしっかりすすぐ。
- 日陰干しで乾燥させる。
(※)お茶染め体験ではハンドタオルという染めムラが起きにくい素材だったため湿潤の工程は省きました。手ぬぐいのような平織りの布や糸などを染める時は、必ず湿潤させてください。
補足
乾燥後に色味が薄いと感じた場合は、2.からの工程を繰り返してください。
以上です。
緑茶の鮮度や保存状態が悪いと色味が悪くなるかと思ったのですが、半年前にいただいた廃棄茶葉でも染まったので賞味期限切れや開封して時間が経ってしまったお茶でも使えると思います。
媒染剤での色止めは施していますが、日常の洗濯や日光などでの色褪せを防ぐことは難しいです。
小紋屋のお茶染めポリシーは「色褪せしたら、また染めればいいよね」という方針であるため、堅牢度はあまり重要視していませんので、その点ご了承ください。
※色褪せが気になる方は市販の色止め助剤を試してみるのもありかと思います。
次回は、黄色に染まったハンカチをカーキ色に変化させる方法を紹介します!
染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。