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茶縞染織/紡ぎ・草木染め・機織り

媒染剤について

2020.03.07 2020.03.13

媒染の工程になると「染色は化学だ」と実感します。媒染剤の使い方次第では思いがけない色に変化して、一喜一憂するのです。
そんな媒染剤の働きについて、Wikipediaが的確に説明してくれていたので、一部引用します。

動物性繊維では、蛋白質を主成分とした繊維に付いた色素を覆うように封じ込め、色落ちを防ぐ。
植物性繊維では、繊維を覆う蛋白質の助剤と色素の間に入り込み、染料を固着させる。
使用する媒染剤によって発色が異なり、一般に重い金属では暗い色に仕上がる。

金属系の媒染剤

私が現在使っている媒染剤は、金属系媒染のアルミ、銅、鉄の3つです。媒染剤

焼きみょうばん:硫酸アルミニウムカリウム(アルミ媒染)

食品添加物としてスーパーなどで販売しているので気軽に購入でき、染色では初心者向けの媒染剤。先媒染、後媒染、どちらでも使用可能。
染液とほぼ変わらない色味になることが多く、ものによっては明るい色に変わる。
染めたいもの(繊維)に対して5%前後*を熱湯で溶かしてから使う。

浸染用銅液(銅媒染剤)

基本的に後媒染。
染料によって反応にかなり違いがでる。殆どの場合はやや暗めの落ち着いた色になるが、緑染めにおいては効力を発揮する。
染めたいもの(繊維)に対して5%前後*を使う。

浸染用鉄液(鉄媒染剤)

基本的に後媒染。
染料によって反応に違いがでるが、ほぼグレーか渋い茶系になる。色の変化が一番大きい。
染めたいもの(繊維)に対して2%前後*を使う。

使用方法

  1. 染めたいものに対して20倍の媒染液となるように水やお湯を入れて50℃前後(厚手のゴム手袋をすれば手を入れられるくらい)にし、その中に媒染剤を入れてよく混ぜ合わせる。
  2. 先媒染の場合は繊維を湿潤させて脱水後、後媒染の場合は染液をよく洗い流して脱水後、媒染液に入れる。15分〜30分*浸す。

* 使う量に決まりはなく、繊維や染料の種類によって差違があるため、色の変化を確認しながら調整すること。

染色結果

参考までに、日本茶(緑茶)で染めたときの媒染による色の違いです。
媒染の違い左から鉄、銅、アルミ。
このときは同じ鍋の中で3枚一緒に染色し、それぞれ後媒染をしました。同じ環境の染液でも媒染剤が違うだけでこんなに色が変わるという、良い例だと思います。

また、市販の媒染剤を手に入れる前に一度だけ手作りの媒染液を作ったことがありますが、今回は残っていた写真データだけ掲載します。媒染剤について左が銅線と氷酢酸で作った酢酸銅液、右が酢酸鉄を作るために赤サビを増やしている最中のスチールウール。
時間ができたら当時の記憶を掘り起こしつつ、再び手作り媒染液にチャレンジしたいと思っているので、そのときはこちらで記事にします。

→2020/3/13 追記「草木染め:媒染剤を手作りする

その他、金属系では他にもスズやクロムなどがありますが、さすがに素人には扱いが難しいので試したことはありません。(今後も無いと思います)

その他の媒染剤

酸性の媒染剤

同浴媒染または同時媒染と呼ばれる方法になるかと思いますが、染液を煮出す際に、お酢やクエン酸を入れて酸性にかたむけてから染めることがあります。
クエン酸を入れた自家製紫蘇ジュースブルーベリー果実で染めたときは、どちらもpH3程度の酸性環境のなかでキレイに染まりました。紫蘇ジュースで染めた糸は焼きミョウバンで後媒染してしまった(緑寄りのグレーになりました)のですが、ブルーベリー染めは3ヶ月経っても色をキープしています。

アルカリ性の媒染剤

天然媒染では草木灰やその上澄み液からつくる灰汁*(あく)、薬剤では重曹や炭酸カリウムがあります。
日本茶から緑色素を抽出しようとしたときに炭酸カリウムでアルカリ性の染液を作ったことがありますが、すぐに酸を加えて中和してしまったため結果が残っていません。
ちなみに、重曹ではpH9くらいが限度で、炭酸カリウムではpH12〜13にすることができました。
* ツバキ科の灰からとれる灰汁はアルカリではなく、アルミニウムを含んでいるのでアルミ媒染となります。

天然のアルミ媒染剤

染色を始めたばかりの頃、アナンダさんの講習で「フィトカリ」という天然ミョウバンを利用しました。氷砂糖のような塊で、染めるものに対して6%を目安にお湯に溶かして使います。

天然の鉄媒染剤

鉄分を含むお歯黒や大島椿での泥染めが知られています。

染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。

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