糸づくりの道具を紹介します
収穫した綿を手紡ぎ糸にしたり、手紡ぎ糸にしてから染める準備をするまで、大活躍してくれる愛用の品々です。
ハンドカーダー
繊維の流れを一方向に整えて紡ぎやすくします。カーダーを使ったその行為を「カーディング」と呼びます。
カーディングをしなくても繊維の状態によっては紡ぐことが可能ですが、綿は繊維が短いことや種を取っただけの状態だと塊が残っていて均一の太さに紡げないことがあるため、紡ぎには大切な手順の一つです。
写真右奥の袋には、カーディングした綿の「篠(しの)」が入っています。手に収まるくらい、約10cmくらいの長さがちょうど良いサイズ感。
※羊毛の場合は、違った色や種類の羊毛を混ぜ合わせる場合にも使います。
タクリ(綿用スピンドル)
糸を紡ぐための紡錘用具、長さ20cm弱くらいの金属製(写真は真鍮)のスピンドルです。
糸を引っかける鉤(フック)が重りとなる円盤と反対側の先端についていて、円盤を下にして独楽を回す要領でクルクルと回して撚りをかけます。円盤に重さがあるため高速回転が可能で、細い糸が紡げます。
ちなみに木製のスピンドルは糸を引っかける鉤の部分が円盤側の先端についていることが多く、円盤側を上に向けて空中で回転させながら撚りをかけて糸を巻き取っていくので「ドロップ・スピンドル」とも呼ばれます。
チャルカ(オープンタイプ)
インド発祥の糸紡ぎ車です。
糸車で思い浮かぶのは車輪(ホイール)の部分が床に対して縦(垂直)になっているタイプだと思いますが、こちらは横向きでお盆が2枚ついているような形。細身でコンパクトなので持ち運びも楽ちんです。
糸を紡ぐ構造は縦向きの糸車と同く手回し式となっており、先端にタクワと呼ばれるスピンドルを設置、車輪に巻き付いたベルトが回転することでタクワが回転し、タクリ同様に細い糸が紡げます。
かせ取り棒
紡いだ糸を綛(かせ)にするための用具。
こちらは直径20cmくらいの小さい綛を作れます。タクリ1本分の糸を綛あげするのにちょうど良いサイズ。
両側についた横棒を互い違いにして、かせとり棒の中央を持ち向きを変えながら横棒の両端に糸をかけていきます。
かせ繰り器
玉巻き器の相棒です。ワインダーとも呼ばれます。
綛の大きさに合わせて外骨のサイズを調整できるので、大小様々な綛に対応可能。最初に手に入れておくと重宝します。
玉巻きにも活躍しますが、糸を染め直したいときや大量の糸をまとめて綛あげしたいときにも利用します。
玉巻き器
文字通り、糸を玉状に巻くもの。かせ繰り器とペアで活躍します。
糸案内に糸を通してボビン上部の切れ込みに糸端をかけてから、まずはゆっくりとハンドルを5,6回転。ボビン芯に糸が巻き付いたらお好みのスピードで巻いていくだけの簡単操作で、きれいな糸玉ができあがります。
糸はボビン芯に直接巻き付けてもOKですが、少し厚手の紙をボビン芯に巻いておくと、ボビンから外しても糸玉の中央にドーナツ状の穴がしっかりできるので管理しやすくなります。(穴があると織りの整経時に役立ちます)
2024年2月13日追記
各道具の詳細は、こちらのYouTubeチャンネルの再生リストからご覧ください。