タデ藍の沈殿藍(泥藍)で染める
友人からお誘いいただき、昨年秋にタデ藍の生葉からつくった沈殿藍で染色をすることになりました。
藍染めは普通の草木染めの工程とはかなり違い、工程がかなり複雑です。
藍染めには藍建て(アルカリ還元)という工程があるのですが、今回は素人でも可能な化学薬品による藍建てを試してみました。
また、藍染めについては知識が不十分なため、あまり参考にならないかも知れません。その点、ご了承ください。
分量
- 沈殿藍 50g(蓼藍25gをお湯25gで泥状に戻したもの)
※蓼藍の色素はインド藍の1/5程度とみなす。 - ソーダ灰 5g
- ハイドロサルハイト 5g
- 染める繊維(綿、手紡ぎ糸、綿テープ等) 500g
用具
- 紙コップ(還元用ポリ袋を仮置きするため)
- 還元用ポリ袋(できれば耐熱、B5サイズくらい)
- 染色用ポリ袋(破けにくい素材、水5,6リットルが余裕で入るくらいの大きめサイズ)、軍手(還元時に熱湯を扱うため)
- 還元用お湯(90℃以上)200ml
- 染色用お湯(50℃〜60℃)5000ml
事前準備
- 藍の塊を小麦粉くらいの細かい粉になるまですり潰す。すり潰した藍の粉末を藍建て用ポリ袋に入れ、藍と同量のお湯を入れて溶かし、沈殿藍(泥藍)の状態に戻しておく。
※塊にお湯を加えてふやかしてから乳鉢で泥藍に戻す方法も有り。 - 染める繊維をあらかじめ水で湿潤してよく絞っておく。
※以前、インド藍で藍染め体験をしたアナンダでは、空気を完全に抜いた密閉した環境での染めなので乾いた状態のでままでOKとのこと(次回試してみる)。
藍建て(還元)
- 還元用ポリ袋の中にソーダ灰とハイドロを入れ、すぐにポリ袋の空気を抜いてから口を捻って持ち、5分ほど揉み溶かす。
- 液が黄緑色〜緑色に変わったら還元完了。ポリ袋の口を捻ったままにしておく(口はしばらない)。
藍染め
- 染色用ポリ袋にお湯を入れ、還元液が入ったポリ袋を入れる
- 染色用ポリ袋の空気を抜いてから口を捻って持ち、還元ポリ袋を押しつぶすように液を出してお湯全体に混ぜる。
※この時点で染液の温度が40℃より低いようであれば、湯煎して温度を上げておく。(上限60℃) - 液全体が緑色になったら、繊維を静かにポリ袋に入れて、一緒に入った空気を抜いてポリ袋の口を捻って持ち、ポリ袋の外からを繊維を揉みこむ。
- 5分ほど揉み込んだらポリ袋の口側に繊維を寄せ集め、繊維が溜まったポリ袋の上部を支えながら持ち上げて染液をポリ袋の底に落とし、繊維に染み込んだ染液も絞って落とす。
※引き続き染めるものがある場合は、ポリ袋から空気を抜いて口を捻って仮止めしておく。 - 繊維を広げて空気にさらす。
- 繊維の色が緑から青に変わったら、水洗いして余計な染料を洗い流して日かげ干しをする。
※媒染は必要ありません。
※動物性の繊維を染める場合は酢酸によるアルカリ成分の中和が必要ですが、今回は植物繊維の綿のため省きました。
袋から出した直後はベージュっぽい色だった繊維があっという間に緑に変わり、1,2分ほどで鮮やかなブルーに変われば成功です。
その他
- 染液が緑色を保っていれば、続けて染色可能。
- 染液が冷めて青くなったら湯煎で温度を60℃近くまで上げてみる。
- 湯煎で緑色に戻らなかったら酸化してしまったことになるので、再度ソーダ灰とハイドロを染液に加えて還元する。
- 染液は長期保存が可能。染液の色が薄くになってきたらソーダ灰とハイドロで還元させた沈殿藍を追加することで継続使用が可能。
- 染液はアルカリ濃度が低く害はないので、そのまま下水に流して問題なしとのこと。
ポリ袋ではなく藍瓶を模したポリバケツなどでも染色は可能ですが、常に液面が空気に触れた状態となるため酸化が早まります。
また、染め液の温度が下がった場合に湯煎することを考えると、ポリ袋の方が扱いやすいと感じました。
お茶染めとのコラボレーション
生成り糸と事前に日本茶で染めた(アルミ媒染)黄色い糸を染めてみたら、きれいなブルーと御召茶(おめしちゃ)色になりました。左が染色前、右が染色後の手紡ぎ糸です。
そして、藍の染液がまだ色が濃くて元気だったので続けて今年収穫した和綿を精錬して染めてみたところ、こちらも艶やかなブルーになりました。綿はフェルト状に固まっていますが、丁寧にカーディングを施せばちゃんと手紡ぎもできます。
友人が種から育てた蓼藍を収穫して、沈殿藍を作って。そこに自分で種から育てた綿を紡いで作った糸を染めるという、かなり自給自足に近い貴重な藍染め体験ができました。
染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。