日本茶(緑茶)染め:アルコールで色素抽出を試す
2017.12.18
2019.12.10
ひさびさにお茶を使った染色です。
水には溶け出さない脂溶性色素のクロロフィルですが、アルコールに浸すことで色素を抽出できると知り実験してみました。
染色データ
用意するもの
- 手紡ぎ糸:30g
- 日本茶(飲料用の乾燥茶葉):30g
- 無水エタノール(99.5vol%):300ml
- 焼きミョウバン(媒染剤):糸の5%
- 酢酸銅(媒染剤):糸の5%
葉緑素を抽出する
- 染める繊維(手紡ぎ綿糸)と同じ重量のお茶をミルで細かく粉砕し、お茶の重量×10倍の無水エタノールとともに密閉容器に入れて1日浸ける。
- これを染める糸の総重量に対して浴比が20:1(液:糸)になるように水を加えて染液とする。
先媒染
- 糸(手紡ぎ綿糸)は事前に豆乳でタンパク濃染した糸を湿潤させる。
- 酢酸銅と焼ミョウバンの2種類の媒染剤で5%溶液をつくり、30分間浸ける。
- 水洗いして脱水する。
染色
- 先媒染した糸を染液に投入。60℃〜70℃をキープしつつ20分染色する。
※葉緑素は熱に弱い色素なので低めの温度設定にしています。 - 染液が完全に冷えるまでそのまま一晩浸けておく。
- 染液から取り出して水洗いしたのちに日陰干し。
二度染めをする場合は、乾かした糸を湿潤させてから媒染液に30分浸し、最初の染液を利用して染めの行程を繰り返します。
結果
写真左から、
- アルミ媒染で一度染め(淡い黄緑)
- アルミ媒染で二度染め(明るめの緑)
- 銅媒染で二度染め(渋めのカーキ)
という色合いで染まりました。いずれの場合も、アルコール抽出したときの鮮やかな緑色は再現できませんでしたが、とても良い実験結果が得られたと思います。
今回使用した無水エタノールは薬局で手軽に購入できますが、引火性がある液体ですので扱いには十分ご注意下さい。
そして、大量に染めるにはそこそこの費用(無水エタノール500ml入りで1000円〜1500円くらい)がかかりますし、抽出やら染色にも時間がかかります。
あと、手荒れにもお気をつけて。
諸々、自己責任でお願いします。
追記
経年変化による退色について、こちらで紹介しています。
染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。