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茶縞染織/糸紡ぎ・茶染め・手織り

本場結城紬に出会う

2015.12.07 2015.12.08

結城紬の工房を見学してきました。結城紬の産地は栃木県小山市と茨城県結城市が有名ですが、今回は結城市への訪問です。
地機を使って織り手さんが実演してくださったのですが、写真を撮るのを忘れてしまうくらい見入ってしまったため、その後に訪問した結城紬資料館「つむぎの館」のジオラマで紹介します。

IMG_2389機織りをイメージすると真っ先に思い浮かぶのは高機(たかばた)のような足踏み織機だと思うのですが、結城紬は地機(じばた)という原始機に近い形の機を使って織り上げていきます。
腰当てと呼ばれる帯状の布を腰に巻き、引き綱を足で操りながら掛け糸を上げ降ろし、織り地の張り具合を全身で調整しながら、ずっしりと重い杼で緯糸を通して打ち込む。
絣模様を合わせて、筬を打ち込む!さらに打ち込む!
実演してくださったのは細身の女性だったのですが、どこからこんなパワーが出てくるのかとビックリするくらいの迫力でした。

IMG_2386織りは結城紬の最終行程なので、その前には繭から真綿にして糸に紡ぐことから始まり、絣模様をつけるための絣くくりをして染めあげて、糸に強度を与えるための糊づけを繰り返し…といった気の遠くなるような行程があるわけです。量産はできないので必然的に価格も高くなってしまうのですね。
私は残念ながら結城紬の着物をもっていませんが、母の仕事場で何度か本場結城紬の反物を見たことはあります。
アルバイトがわりに反物の地のし(アイロン掛け)をときどき手伝うことがあったのですが、結城紬だけは一切触らせてもらえませんでした。
いつもであれば反物の切れ端をもらえるのに、結城紬だけはどんな小さな端布れでもお客様に戻すので、私の端布コレクションの中にもありません。
そんなこともあって、結城紬に対しては未だに「近くにいるのに遠い存在」というイメージをもっています。

昔は生活着だったこともあったはずの結城紬が、職人の数が激減した現代では高価すぎて手に入れられない代物となっているジレンマ。
染織の技術を近代化・機械化して、もっと気軽に手に入れやすくしながら結城紬の名を広める活動も盛んに行われていますが、その背景には伝統を受け継ぎ、品質や価値をしっかりと守っている人たちがいるからできるのだと感じた一日でした。

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