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茶縞染織/糸紡ぎ・茶染め・手織り

桜の枝で綿糸を染め織り

2015.04.08 2020.03.15

昨年の東京スピニングパーティーで手に入れた桜の小枝を使い、桜染めにチャレンジしました。
こんなに状態の良い桜の枝はなかなか手に入らないと思いますが、来年のために記録を残しておきます。
※桜の種類や状態によって染まり具合は違うと思いますので、材料の分量は参考までに。

<2020年3月追記>
記事を推敲しました。
以下の手法は、桜の枝を購入した店舗のスタッフさんに聞いたもので、素人向けの簡単な方法です。
記事の最後にある染め上がりと作品写真を見ていただき、もっとしっかりピンク染めたいという場合はこちらの記事は読み流す程度にしてください。

材料

  • 桜の小枝(種類は不明、山桜かも)300g
  • 糸、布(綿100%) 400g(残液染めで180g追加し、計580g)
  • 重曹 5g×8回分=40g
  • 氷酢酸(酢酸99.0%以上) 80cc×2回分=160cc(目安:染液のpHを7〜7.5にする)
  • 焼きみょうばん 8g×2回分=16g(糸に対して4%)
  • 液濾し用の布巾

IMG_1559

染液を作る

  1. 桜の小枝を水1500cc(枝の3倍の量)で30分煮出し、この1番液を布巾で濾す。1番液は黄色色素が多く抽出されているので捨てる。(黄色味が欲しい場合はこの液を使ってもOK)
  2. 水1500ccに対して重曹5gを入れてアルカリ水を作り、そこに桜の枝を入れて1時間ほど煮出し、染液を布巾で濾して別容器に保管する。IMG_1560※1回の煮出しで1リットルくらいの染液が完成しました。
  3. 2.の行程を8回繰り返し、合計8リットルの染液を作る。
  4. 半量の4リットル染液に対して酢酸を入れ、pH7〜7.5程度に中和させる。
    ※本当は染液を1ヶ月ほど寝かせて自然に中和させるそうです。
    ※鍋が小さかったので半量の4リットルずつ使いました。

染色する

  1. 精練と下地処理をした糸と布はぬるま湯で湿潤させておく。
  2. 半量の糸と布(200g)を中和した4リットルの染液(浴比1:20)に入れて火にかける。IMG_1566
  3. 沸騰直前(90℃くらい)に火を極力弱め、とろ火で1時間煮る。
    ※酢酸が入った状態で沸騰させると泡が大量に出て危険です。
  4. 1時間経過したら火を止め、染液が完全に冷えるまで(半日から一晩)そのまま放置する。

媒染する

  1. 焼きみょうばん8gを少量の熱湯で溶かし、4リットルの水(浴比1:20)に入れて媒染液を作る。
  2. 染色した糸を脱水し、媒染液に入れて30分浸す。
    ※2020年3月追記:本当は繊維についた染料を軽く洗い流してから媒染液に入れる方が正しいのかも知れませんが、このときは手で絞っただけで洗わずに媒染液に投入していました。
  3. 媒染が済んだら、色が出なくなるまで糸を水洗いし、脱水後、日陰で乾燥させる。

補足

残り半量の糸と布も同様に、中和した4リットルの染液で染めました。
その後、染液がまだ十分に濃かったので、2つ分の残液を合わせて(6リットルくらい)追加で180gの糸を染めました。

結果

IMG_1584淡いピンクベージュから、少し濃いめのサーモンピンク(残液で二度染め)まで、とても綺麗な糸に仕上がりました。
ビー玉で絞り染めをした布巾も中々の出来映えです。
染めた綿糸は全て市販の紡績糸(3種類)で、太さや撚りや綿の種類も様々。織りの経糸に使う定番糸を選定するため取り寄せたものでした。やはり、ふんわりとした手触りの糸が一番よく染まっています。

その後、織り行程へ。
シルケット加工を施した極細糸を経糸に、さらっとした手触りの極細糸を緯糸にして、平織りの春夏用ショールを作りました。IMG_1594桜で染めたと言わなければ桜染めとは気づかないかもしれない微妙な色合いですが、思っていたよりかなりピンクが出てくれたので、初めてにしては大成功といってもよいかも?と自己満足。
東京でソメイヨシノの開花が発表された3月23日に染液を作り始め、綿糸を染め、染め上がった糸でマフラーを織り…。
花まつりの本日、やっと完成。
手間はかかりますが、やっぱりいいですね、桜染め。

染色と付随する工程に関する注意事項 も、あわせてお読みください。

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