伝統技traditional

泥藍(沈殿藍)作りに挑戦

2019.10.02

藍を育てている友人に誘っていただき、泥藍の仕込みをお手伝いしてきました。
藍のワークショップでは、できあがった蒅(すくも)を使って講師の方に発酵建てしてもらった染液で藍染体験するという、9割以上ひと任せでしたが、今回は染料そのものを自分で作ってみようという無謀な試みです。

お彼岸過ぎで最高気温は30℃に届かないくらいだったので、亜熱帯化しつつある関東地方でも時期的にはギリギリだったようです。(本当は真夏の炎天下に行うと良いとのこと)
友人も私も初体験のど素人なので、石灰の量やインジゴに変化したタイミングが全く検討つかず手探り状態でした。いろいろ試した結果、これがベストだろうという手順です。
同じようにやったけどダメだったよ!という苦情は受け付けません…。


<1>インジカンを漬け出す

藍の生葉を水に漬けて太陽熱を利用して発酵させ、色素の元になる「インジカン(藍の葉の部分に存在している無色の水溶性の物質、配糖体)」を溶け出させます。

30リットル(30型)の漬け物用ポリバケツに水洗いした藍の葉1.5キロを入れ、バケツの8割くらいまで水を入れて撹拌。
葉が浮き上がらないように重しを乗せ、朝・昼・晩の3回混ぜ返す。
漬け込み時間は気温によって変わるが、真夏であれば1日半、今回(9月下旬で最高気温25℃〜29℃)は2日半くらい。


・漬け込んだ葉の色味は緑が抜けて茶色っぽくなる
・バケツの液がエメラルドグリーン(コバルトブルーという人もいる)になる
・高菜漬けの発酵臭+下水の悪臭のような匂いになる
・ph値は4〜5くらいの酸性


<2>インジカンからインジゴへ

インジカンが溶け出した漬け出し液は空気に触れることで酸化し「インジゴ」に変化します。
その手助けをするのがアルカリ性の消石灰。粉末そのまま加える方法と消石灰を水に溶かして上澄み液を加える方法がありますが、沈殿した藍を取り出すのに楽な上澄み液(石灰水)の方法を選択しました。 ※そのままの方が消石灰の量は少なくて済みます。

2リットルくらいの蓋付きボトル型の容器に150gの消石灰を入れ、水を加えて1分ほど撹拌。しばらく置いて石灰分を沈殿させ上澄み液(石灰水)をつくる。
石灰水が足りなかった時の予備として2セット準備しておくと良い。※バケツから葉を取り除く前に準備すること!
藍の葉を絞ってバケツから取り出し、細かい葉を取り除く為に手ぬぐいのようなサラシ布で濾す。
きれいになった液に少しずつ石灰水を加えながら、空気に触れさせるようにしっかり撹拌する。

・液の色が濃い藍色になり白っぽくて細かい泡がこんもりと出てきて、石灰水注入+撹拌を続けるうちに泡が青く変化
・匂いは悪臭感がなくなり、腐葉土のような匂いに変わる
・5分ほど撹拌を続けていると、泡にモコモコ感がなくなって色が白っぽくなる
・ph値が10〜11くらいの強アルカリになったら石灰水の投入を終了し撹拌のみ続ける
・撹拌しても泡がすぐ消え、液の色が黒っぽい藍色から茶色味が加わり、細かい粒子(インジゴ)がフワフワと浮いてきたら終了の目安


<ここで裏話>

手持ちのph試験紙ではph9までしか測れなかったこともあり、終了の目安が分からなかった私たちは泡が白っぽくなった時点でいったん作業を終了して一晩置き、インジゴが沈殿するのを待ちました。
しかし、ph14まで計れる試験紙をみつけて翌日測り直したところph8.5くらいの弱アルカリだったことがわかり、インジゴもまったく沈殿している気配がなかったため、再度石灰水を作って加えつつ撹拌を再開したという顛末があります。
本当は、葉を取り出してから撹拌終了まで一気に作業しなければいけないとのこと。


<3>液を濾して泥藍をつくる

撹拌作業後、時間をおいて藍を沈殿させてからそっと上澄みを取り除く方法もありますが、沈殿を待つ時間がなかったこともあり布で一気に濾してしまう方法を選択しました。

バケツの上に置いたザルに布を敷き、液を濾過する。
濾された液はそのまま処分(酸性土壌の改良剤として利用可能)してもよいが、布の種類によってはインジゴが濾しきれずに流れ落ちてしまうので、液にインジゴ粒子が残っているようであれば更に目の細かい布で濾す。


・濾し布はサラシよりも目の細かいシーチングや胴裏のような薄手の平織りの絹地が良い
・コーヒーフィルターは最強だけど時間がかかりすぎるので最終手段として使う
・すべての液を濾過させるのには時間がかかるので、バケツとザルのセットはたくさん用意しておく


<4>泥藍を乾燥させて藍錠にする

すぐに藍染をする場合はこの泥藍を還元させて染めの工程となりますが、今回はそこまでに至らなかったので乾燥させて保存することにしました。
泥藍を乾燥させたものを藍錠(あいじょう)と呼び、長期間保存できます。

できあがった泥藍や藍錠を使って染色するには、石灰分を取り除いたり還元させたりといった複雑な工程が必要となりまして…。

染色の工程はただいま勉強中です。この藍を使って染色する機会ができましたらブログにアップいたしますので、気長にお待ちください。


<そして謎>

後日、泥藍について調べていて、インジカンを酸化させてインジゴとなるために、なぜアルカリ性の石灰を加える必要があるのかという疑問がわき出ました。
私の想像では草木染めの緑染めと同じ作用で、水に溶けない色素を水に溶け出させつつ塊(色素を結晶化?)にする役目なのかなと思っているのですが…。
ご存じの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教授ください!

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